大樹の囁き
□変わらないヒカリ
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「なんだお前その顔は…喧嘩でもしたのか!?」
「ちょっとね…!」
俺の問いに、ナルトはへへっと苦笑いしながら答えた。
まぁ、何か理由があるのだろう…
そう思いながら、俺はふぅとため息をついた。
「まったく…しょうがないやつだなぁ。最近やっと落ち着いてきたと思ってたのに」
そう言ってナルトを見ると、心なしか、何か悲しんでいるように思えた。
「…またなんか言われたのか?」
その問いの後に、長い間があった。
ナルトはしばらく黙り込んだ後、少し拗ねた顔でやっと口を開いた。
「別にィ。誰にも何も言われてない───」
そう言いかけて、彼は言葉をとぎらせた。
ナルトは目の前の何かを見て、大きく瞳を見開いていたのだ。
だがすぐに、再び怪訝な表情へと顔つきを変えるナルト。
俺は不思議に思いながら、ナルトの視線の先を追ってみた。
(なんだ?もしかしてあれが喧嘩の相手か?)
そう…
そこにいたのは、こちらをめちゃくちゃ怖い目で睨んでいる、ナルトくらいの背丈の少年だった。