大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!

□第5話
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?「──そうか。六角水晶を持っていたか」




照明の落とされた部屋の中央に、豪奢な椅子に腰かけた大柄な男の姿があった。


綾織りの長衣を身に付け、酒杯を手にしたその男は、ちらちらとした明かりの中、配下の報告を耳にして満足げにうなずいて見せた。




ナダ「女優、富士風雪絵が、風花小雪であることは間違いないようです。そしてもうひとつ…」




ひざまずく痩身の忍者、浪牙ナダレの報告に、椅子の上の人物の口元に笑みが上る。

だが、言いかけた言葉に、男はすぐに眉を動かす。




ナダ「あの姫蝶の…女の妹もいるようです」



?「そうか…くくく…」



ナダレの言葉に、男は一瞬驚いたような表情を見せた後、不気味に喉を鳴らす。



フブ「この十年、探し続けた甲斐がありましたネ」




そう言ったのは、男の背後に控えたくの一、鶴翼フブキだった。


その隣に控えた冬熊ミゾレという名の小山のような体つきの忍者が鼻を鳴らす。



ミゾ「へっ、小娘ふたりなら楽勝だぜ。けど、姫蝶の女なんて必要あんのか?」



?「念には念をだ。あの情報も持ってるかもしれないからな。万が一持ってないのなら…俺の支配下に置くだけだ」



ナダ「しかしあの二人には、あのはたけカカシが護衛についているそうです」



ナダレが言うと、ミゾレは驚いたように聞き返す。




ミゾ「はたけカカシ!?」



フブ「へぇ、面白そうじゃない…因縁の対決ってわけね」



フブキが楽しげに声をあげる。




その中心で、男は部屋の奥に張られたスクリーンに映し出された、"風雲姫の大冒険"を目を細めて見つめる。




トド「今日はいい日だ…」






三人の忍者たちの主であり、雪の国の大名である風花トドウは、喉をならして低い笑いをもらすのだった。
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