大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!
□第5話
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薄暗い酒場に腰を落ち着けると、雪絵はぼんやりと自分のペンダントを眺めていた。
それは小さな水晶だったが、その中はまるで雪でも降っているかのように、小さい白い粒子が上から下へととどめなく漂っているのだった。
ユキ「冗談じゃないわ…誰が雪の国なんかに」
雪絵はその水晶を手の中でもてあそんでいたが、そうつぶやくと、ぱたりと音をたててカウンターの上に伏せるように置いた。
そして、目の前の皿からぐいっと一気に酒を飲む。
その様子を、酒場の隅からうかがう人影があることに、雪絵は気づいていなかった。
人影は、帽子を深くかぶり、ジャンパーを身につけた目立たない風体の男だった。
男は座っていた席を立つと、ゆっくりと雪絵のもとに近づいてくる。
ぱっと見たかぎり、男はただ出口に向かって歩いているようだった。
だが、その視線はカウンターの上の雪絵の水晶に向かっていた。
男が、いままさに雪絵の背後に迫ろうとした瞬間、せまい酒場の中に声が響いた。
ナル「見つけたぞ風雲姫!」
「やっと見つけた…」
そこには、息を切らせて飛び込んでくるナルトと、安心したのか、ナルトの後ろでふぅと一息吐くユウリがいた。
雪絵のすぐそばまで迫っていた男は、なにごともなかったかのように出口へと向かい、ユウリたちと入れ替わるように店を出ていった。
ユウリは怪しいその男を、横目でうかがいながら見送った。
次に、雪絵がだるそうに口を開いた。
ユキ「言ったでしょ。あたしは、風雲姫じゃないって」
ナル「そんなこたぁ、わかってるってばよ!」
ナルトは、雪絵の背中に向かってわめいた。
ナル「よくも男の純情を踏みにじってくれたな!女優さまがどれだけエライかしらねぇが、俺は絶対許さねぇってばよ!」
「ちょっと…ナルト!」
雪絵は、酒を飲み続けていたが、やや間をおいてゆっくりとナルトを振り返った。