大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!
□第4話
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マキ「知ってるのか?」
「はい!昔、お姉ちゃんが雪の国の話をしてくれた時があって…その時に教えてもらったんです」
カカ「…だが、それはただの言い伝えだ」
ユウリがにこやかな表情で語っていたところに入ったのはカカシだった。
その声は、いつになく沈んでいるようにも思えた。
カカ「実際に雪の国には春はない」
「え…?」
サク「春がない?」
言葉を失うユウリの隣で、サクラが聞き返す。
サク「ずっと冬のままってこと?」
カカ「ま、そういうこと」
いつもの調子に戻ってカカシがうなずく。
と、ユウリたちの真後ろから、聞き覚えのある声が響いた。
ミチ「それに、雪の国は貧しい国だっていうじゃない」
サク「すすす、助悪朗役のミッチー様!」
「俳優…勢揃いだね!」
ミッチーはユウリたちに向かってウインクすると、言葉を続けた。
ミチ「なんでも、前の殿様が大のカラクリ好きで、道楽にのめり込みすぎたおかげで財政破綻したとかなんとか…」
その言葉に、三太夫がかすかにうつむくのをカカシは見逃さなかった。
ヒデ「おい、暖房くらいあるんだろうなあ。俺、寒いとこは行きたくないぜ」
冗談まじりに苦笑しながら、獅子丸役のが言う。
それを、鰤金斗役のキンがまぜっかえした。
キン「じゃあ、お前も逃げてみるか?雪絵みたいに」
スケ「ちょっとお、勘弁してくださいよ!」
そう言って前に出た助の顔は、おどけた口振りとは裏腹に、沈んだ表情をしていた。
その助監督の気持ちを代弁するように、スタッフや俳優たちのもらした笑いは、ひどく醒めたものだった。
「…風雲姫──えっと、雪絵さんはいつもあんな感じなんですか?」
途中で言い直したユウリの問いかけに、風雲姫の仲間役の三人は、浮かない表情で顔を見合わせた。