大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!

□第4話
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子「すっごーい、本物だ!」


子「風雲姫だ、風雲姫だ!」




その子供の言葉で雪絵に気付いた他の子供たちも、口々にそう言いながら近寄ってくる。


雪絵は、まわりを取り囲んだ子供たちを見回しながら、ぶっきらぼうに答えた。



ユキ「あたしは風雲姫なんかじゃないわ!」


子「知ってるよ。女優の富士風雪絵でしょ!あたしファンなの!」



その女の子はにこにこにそう言うと、肩からさげていたカバンの中をまさぐり、ノートとペンを取り出した。



子「サインちょうだい!」

子「サインサイン!」



その子の言葉が口火を切ったか、ほかの子供たちもいっせいにノートを取り出すと、無邪気な表情で雪絵に向かって差し出してくる。


雪絵は戸惑うような表情を浮かべながら、冷たい口調で言い放った。




ユキ「あたしはサインなんかしないの!」


子「そんなこと言わないで、おねがーい!」


子「サインサイン!」


子供たちが口々に叫ぶなか、こらえきれなくなったナルトも声をあげる。



ナル「俺も俺も!サインくれー!」


子「女優さんなんだから、サインくらいしてよー!」


その言葉そのものは、子供の口から出た悪気もなにもないものだったにちがいない。


だが雪絵は、その言葉に表情をこわばらせると、怒りを込めて叫んでいた。



ユキ「いいかげんにして!あたしのサインなんかもらって、何が面白いの?しばらくすれば、どうせどっか片隅に置き忘れられて、埃でもかぶってるのが関の山でしょ!」



その瞬間、子供たちの顔からは笑顔が消えていた。


しばらく見回した後、子供たちの間を抜け、雪絵は歩き出した。



ユキ「なんの役にも立たない、くだらないものじゃない…バカみたい」



つぶやいたその言葉は、子供たちにといいよりも…自分に向けて言ったかのようだった。


雪絵は逃げ出すように足を速めると、その場を立ち去っていった。


いつの間にか集まっていたやじ馬たちが、声を潜めてささやきあう。



女「やあねえ、気取っちゃって」


女「なんか幻滅」


男「ちょっと売れてるからって、テングになってるんじゃねぇの?」




その声を背中を向けて聞きながら、ナルトは離れていく雪絵の背中を、ただただ見送るのだった。
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