BOOK1

□沖田
1ページ/1ページ



忘れてたんだ、


王子様には


お姫様が居る事。






あたしは

馬鹿で単純で考え無しだから、

ポーカーフェイスの総悟の考えてる事なんて、

いっつもいっつも
うんうん唸っていくら考えたって
いっこもわかんなくって


そんなあたしをからかってから
総悟はあたしの頭をグシャグシャってして、
とびきり可愛い顔で笑ってた。

あたしはその顔を見る度に、
独占したくて 欲しくて欲しくてたまらなかった。

総悟があたしに触れる度に、
もしかしたら総悟も、
今のあたしのドキドキの10分の1くらいはドキドキしてるんじゃないかなーとか、そうだったらいいのになあ、とか、
そんな事ばっか考えて余計に一人でドキドキしてた。


総悟は もしかしたら

総悟も もしかしたら




そんな事、ばっかり。




あたしが調子に乗り過ぎたから。
総悟、総悟、って
あたしがどんどん強欲な子になっていくから。

バチが 当たったんだ。




王子様の前に、
お姫様が現われた。

総悟のお姫様は
あたしじゃなかった。




あたしと違って、

凄く綺麗で 落ち着いてて
頭も良さそうで
総悟の考えてる事、お見通しだよ、
そんな大人の雰囲気で。

あたしみたいな 子供っぽい子じゃない





総悟があたしにとって
大切な人という事に変わりはないよ

総悟がいくら遠くなったって
あたしの立ち位置は変わらないよ

あの子がどれほど総悟を好きだって
あたしの総悟への気持ちも変わりないよ


総悟からあたしへの気持ちだって
残念だけど変わるはずないのも
本当は ずっと前から知ってたよ



別に


なんにも変わってないよ。


総悟に、守りたい人が 出来ただけ。



あたしが


毎日泣く事も見つめる事も
触れたいって欲求も作り笑いも
留める言葉も救いのない妄想も

きっと
今までもこれからも

変わらない 変えられない、よ







蒼い夢に沈む






あぁ、 ひとつ。

変わったモノがあるとすればきっと。涙の、量だ

あーあ、おかしいな、総悟は人の背中を足蹴にはするけど白馬になんて乗ってないのにな。カボチャパンツも履いてないのにな。

なんで なんでかな
なんで総悟はあたしの王子様なのに、
あたしは総悟のお姫様じゃないんだろう











3Z!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ