BOOK1

□雲雀
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すう すう、



図々しくも応接室のソファを陣取って寝息を立てる、

キミの寝顔を観察。


ううん、
と寝返りを打てば。

サラサラ、
長い髪が流れる。

形の良い唇にかかったそれを
掬って、耳へかけてやる。

どうやらくすぐったかった様で、

へらり、
と笑った後にまた規則的な寝息を立てた。


気の良い夢でも見ているのか、
幸せそうにぽかんと口を開いて眠る。

間抜けな顔で、

むにゃ むにゃ、

と発しながら。

ポリポリ、
捲り上げた制服から見える
腹部を掻いていた。


…。


不思議なものだ。
こうやって微かに見え隠れする彼女の肌に僕は今まで何度も理性を持っていかれそうになったはずなのに。

俗に言うチラリズムというものの誘惑に幾度も負けそうになりその度に戦い打ち勝ってきたはずなのに。

同じモノが目の前に落ちているというのに、このたったひとつの小さな動作でこんなにも差が出るのは何故なんだろう。

ああ。もしかして彼女の無意識の内の僕への防御策なのだろうか。


彼女は、綺麗だ。
僕だって、男だ。
出来る事ならば、彼女を抱きたい。


腹を出して、掻いていようとも。
やはり彼女は、綺麗だ。


ぐう ぐう。

……ぐうぐう?

…………寝方が少々親父くさいくらいの欠点があった方が、僕だって安心出来る。
それ程に、彼女は魅力的なのだから。



ぐおお ぐおお



…ぐおお って。


たまらず

「ねえキミ。そろそろ起きなよ」

だなんて

揺すってみたのが間違いだった。



『んー… 雲、雀…好き、よ…』






今の、すごいキた。




(わあ 何!雲雀が盛ってる!?)
(キミが悪いよ)
(え!意味分かんない!)
(キス出来ない。黙らないと咬み殺すよ)
(理不尽だ…!)


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