鬼太郎+Book

□2
1ページ/1ページ



2Aでの授業中の教室で、
校庭の一点を眺めている女子を見つける。


おーい何見てんのー黒板と先生を見なさいよー重点的に先生だけをーと投げると「先生キモいんですけどー」とか言われて一気にやる気が失せた。

校庭に目を向けると、
ほったほった歩いている学ランの生徒を見つけた。なんかこう、ダルそうな雰囲気を纏っててムカついた(もっと俺みたいにピシッとしろよな!)。


「おいコラー何ゆっくり歩いてんだ走りやがれコノヤロー」


教室の窓側から大きめの声を出すと、黒髪が揺れて見上げてきた。
サラッてなった。めっちゃウザい。風にサララッとなびいた。めっちゃウザい。


「おー」
「おーじゃねぇよ、なに流暢に挨拶してんだ慌てろよ走れよ馬車馬の如くー」
「るせー」
「なんですってー」


高杉だ。
高杉晋ちゃん。
俺が担任をしている3Zの生徒。

こうやって別クラス別学年の授業中に、遅刻して校庭を歩いてくる高杉を見つける事はたまにある。
発見状況は、…もれなくさっきみたいな女子生徒の視線による感じ。

「高杉先輩可愛いー」



「ねー!超カッコいいしねー」



え、何言ってるの?全っ然納得いかねぇ。っつーか趣味悪いわこいつら絶対。


「はいそこ高杉ばっか見なーい、カッコいい先生とカッコいい先生が書いたカッコいい黒板の字を見るー」
「先生キモいんですけどー」
「あんだとコノヤロォォ!お前らアレか?なんでアイツがいっつも遅刻してくんのか知ってる?」
「え?そりゃやっぱ…、夜遊びでしょ?」


ちょっと遊んでて悪そうで危険なとこもいいよねーきゃー

…って アホかァァァ!!

全っ然!全っ然違うから!
遊んでるには違いないけど、アイツが遊んでるのはゲームだから!ゲーム、機!!
大人の火遊びとかそんなんじゃねーから!まあボンバーマンとかもするからある意味火遊びで合ってるけどなんか全っ然違うから!
アイツの遅刻はただのゲームのやり過ぎからくる寝不足だから!


不良っぽい鋭い視線がいいよねーガン飛ばされてみたーいきゃー

…って アホかァァァ!!

全っ然!全っ然違うから!
まあアイツすっげぇ目凝らして見てくるから鋭いといえば間違っちゃいねぇ。
でもそれってアイツの視力が悪いからだからね。
その原因は確実に、ゲームのやり過ぎなんだからね!
いい歳こいて何やってんだっつーんだまだまだガキだよなダンディアダルティな俺と違ってねー!



キーンコーンカーンコーン


ってオイィィ!
授業終わったじゃんよ
今日授業全然進んでないんですけど
テスト範囲全然教えきれてないんですけど
なんか後半完全に女子による高杉先輩トークになったんですけど
いかに先輩が素敵かとかすっげぇどうでもいい事教えられたんですけど
なんか心無しか2Aの男子生徒達が可哀相なんですけど
わかんねーわ こいつら女子の男の趣味が全然わかんねーわ


あ、次3Zの授業じゃねぇか。

よし、

高杉観察でもしてみるか








[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ