クラップ
□霧矢さんと
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「すごい雨やなぁ」
急な雨にあわてて駆け込んだ屋根の下。
「ね、本当に…」
私は二人きりが恥ずかしくてなんとなく曖昧な笑顔で答えた。
早く止んでくれないかなと空を見る。
と、
クシュン!!
おもいっきりクシャミが出た。
「雨が降ると冷えるからな」クスリと笑ってヒロムさんは着ていたジャケットを私にかけてくれる。
「あの、これじゃあヒロムさんが風邪を引いてしまいます…私は大丈夫だから…」あわててジャケットをかえそうとすると、手を制される。
「女の子は体、冷やしたらあかんねんって」
「でも…」
「それとも、私に温めて欲しいんか?」
ヒロムさんは本気なのか冗談なのかわからないようなイタズラっぽい目で私に笑いかけた。