クラップ
□大和さんと
1ページ/1ページ
「君にこんな可愛いお友達がいるなんてしらなかったな。紹介してくれないか?」
「まったく君は…。こちらは公爵のご令嬢だよ。」
私の前には整った顔立ちの軍服姿の凛々しい人が立っていた。
「はじめまして、お嬢さん。大和悠河ともうします」そういって私の手をとり、手の甲にキスをした。
「っ!いや!」びっくりしておもわず手をひっこめてしまった。
「悠河くん、失礼したね。姪は社交界に出たばかりなんだ。まだ慣れていないんだよ。」
おじさまがフォローしてくださった。
「おっと、それは失礼。びっくりさせてしまいましたね?」優しく微笑みかけてくれる。
「あ、いえ。わたくしこそ、不躾で申し訳ありません…」恥ずかしくて顔が赤くなる。
「公爵、姪ごさんをダンスに誘ってもよろしいですか?」
おじさまが私の顔を見たので私はこっくりと頷いた。
「お嬢さん、お手を。」
大和さんの手が私を優しくリードする。
「お上手ですね。」耳元で低く囁かれ、びっくりして足を踏んでしまった。
「あっ!ごめんなさい…大和さん…」
どうしよう…
「ふふ。いいから、そのまま。それから、私の事は大和さんじゃなくて、タニって呼んでください」
唇が耳に触れるほど近くで囁かれクラクラする。
「あの…も…」
なんだかとても恥ずかしくてなってタニさんから離れようとした。
「まだだよ。まだ、夜は長いんだ。」
タニさんは私の腰を支えている腕に力を込めた。