06/18の日記

12:49
つづき
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DMC悪魔設定、6月6日と6月9日の続きぽい話。







カミュは全ての敵を引きつけて行ってしまったクラウザーと、それを追って援護に向かったジャギの消えた方に一瞥くれた。
もう用は無いだろうと携帯を取り出し操作していると、さっき敵を引きつけていなくなったはずのクラウザーがいる。

胡散臭さそな視線をクラウザーにやり携帯をしまった。

あの頃のクラウザーであればこのぐらいの速さで戻って来ることも可能だが、今の人間に感化されている状態ではどうであろう。

カミュは無言でクラウザーに近づき、いきなり手にした棍棒で殴りつけた。
寸前で躱すと、さも心外だという風に腕を組みカミュを睨み付けた。

「どういうつもりだ?
事と次第によっては・・・」
壮絶な笑みをクラウザーは口元に浮かべているが、目が氷のように冷ややかだ。

「ギィィ」

今度はさっきとは比較にならない速さで殴りかかると、一撃目は辛うじて躱したが次の攻撃をモロに浴びて吹っ飛んだ。

カミュはクラウザーをミンチになるまで殴りつけ、原型をわからなくすると満足そうに血の付いた武器を見た。

「けっ。グズが」


突然、音の振動が激しくなり空間の歪みと共に先ほどカミュがミンチにしたはずの男、クラウザーが現れた。
そのすぐ後ろにジャギもいる。
カミュはクラウザーにまた棍棒で殴りつけると、今度は躱すでもなく片手で受け止めた。

「ちょ、止めてよ。何でいつも攻撃してくるかな?」

手に付いてしまった自分のではない血糊をなんとなく舐めとりながら、うんざりした様子で尋ねてみた。

「能無しが」

「相変わらず容赦ないな。
ここまでたこ殴りにしなくても良いのに」

クラウザーは敵であっただろう肉片を眺めながら呟いた。

ボソリと「死ね」と呟くとカミュは興味を無くしたように携帯を取り出した。

そのすぐ近くにいたジャギはカミュと肉片を交互に眺め、薄く笑むとカミュに耳打ちした。
嫌そうにジャギはカミュを振り払うと携帯を弄り始め、後は何を言ってもシカトを決め込んでいる。

クラウザーは2人のやり取りがよくわからず、えらく甘い血だったなと、ただぼんやりと思っていた。
その時クラウザー自身は気付いていないが、ニンマリと満足げな笑みを浮かべている。
その笑みは先ほどカミュに肉片にされた、偽のクラウザーによく酷似していた。それを見た2人は懐かしさと共になんとも言えない気分になった。

敵側のクラウザーの認識は魔王であった頃しか無いのであろう。
奇しくもクラウザーが普段は単なるヘタレとは知らず、周りから消そうとした結果がこれだ。

断末魔の呪いの篭もった血によって無意識に魔王である顔を覗かせたにすぎないようで、結局すぐに手に付いた血をマントで拭った。

もう用がないなら帰ると言い出したクラウザーに、打ち上げに来いよとジャギに誘われたが帰ってしまった。

何時もの癖で飲みに誘ったジャギだったが、今日は断られて良かったかもと思っていた。
自分も人間生活に感化されてるのかも。

ほんの一瞬だが昔のクラウザーを垣間見てしまった今日は、酒が苦くなりそうだと思ったが、呑まなければ余計に苦い気持ちになりそうだった。

「ほら、いつまでもシカトしてないで俺達も行くぞ」

end













後書き。
カミュさんをちゃんと書く機会がなかったので、やってみたらかなり楽しかった。
今思えば悪魔設定のWeb拍手SSをするきっかけになった話。
ちなみにそのSS「紅姫」は裏サイトに持って行ってしまいました。
別にエロい話ではないけど。

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