戯言

□書きため
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内容:新/海誠氏制作の『ほ/しのこ/え』のパロディをOPキャラで。




『時間と距離』 前半


2XXXX年。人類は未確認生命物体と接触することになった。地球外の文明との衝突は人類にとって突然すぎた。


「だからと言って初対面の相手を攻撃しなくてもよくね?」
「今そんなこと言ったって仕方ねェだろうが」
どんなに科学技術が発達しても過去に戻ることはできないのだから。
「それよか1時間後のミーティング。サボんじゃねェぞ」
「またミーティング?だりーだけじゃん」
メンドーだー、と叫ぶガキにため息が出る。なんだってコイツが特例のトレーラー操縦者なんだ。ともかく、次のミーティングは遅刻欠席厳禁。とっておきの言葉を耳に吹きこむことにする。
「おとなしく次のミーティングに出たら、地球から持ってきた氷菓子をやる」
「行く!」
チョロ過ぎだろ。


人類はこの未確認生命物体をタルシアンと名付け、それに対する諸問題の対策チームを結成した。俗にタルシアン・プロジェクトと呼ばれる。
一昔前のロボットアニメを彷彿させる機体、トレーサーはそのプロジェクトの中でも花形と言え、タルシアンに直接対峙し攻撃するものである。
操縦者候補は国連指導のもとで行われるテストによって選ばれる。このテストを幼児に受けさせることは保護者の義務であるとされ、身体能力はもちろん、場面判断能力や空間認識能力など様々な能力値の測定をする。好ましい能力値をたたき出した子どもには、義務教育とされている15歳までの自由とその先の拘束が通知される。


「その後は火星で実地訓練。その中での成績優秀者のみが、晴れて現場のトレーサーを操縦することができる・・・はずなんだけどなァ」
「なんか言ったか?」
「いや、何をどう間違ったらお前みたいなお子様がここまで来れるのか考えていただけだ」
「お子様って言うな!つーか早くアイスくれ!」
その言葉に矛盾を感じるのはおれだけなんだろうか。どうでもいいかと思いなおして氷菓子の入った袋を投げる。
「オラ」
「うおっ」
放り投げたアイスバーはどこでもある安いものだ。地球であれば。
「・・・」
「どうした?食わないのか?」
「うんにゃ、食う」
「じゃあ、袋の開けからでも忘れたか?」
「んなわけねェだろ!」
バリッと袋を破り、麦わら屋はアイスバーをかじり始める。氷をかみしめる特有の音が響くたびに麦わら帽子の頭が揺れた。それは淡いブルーのアイスと相まって季節感のない宇宙空間に小さな夏を感じさせた。
半分ほど食べたときだ。
「なァ、ローは怖いと思ったことあるか?」







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