軍隊パロ

□とある軍病院のひとこま
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とある軍病院のひとこま




白い廊下を歩いていると不意に後ろから声がかけられた。
「ロー!」
自分の名前が呼ばれれば大抵の人間は振り向く。俺もその例に漏れない。
「あー?麦わら屋じゃねえか。おまえがここに来るなんて珍しいな。どっか怪我した・・・ってわけじゃなさそうだな」
「ああ、俺じゃなくてゾロが怪我したんだ」
聞けばとある犯罪グループを制圧するときに最前線にいたため多数の傷を負い、それによる出血多量で運び込まれたらしい。そういえば昼前に書類が渡されたような。いつも通りの入院届だと思って碌に目を通してもいなかった。自室に戻ったら書類の整理だな。
「明後日には退院できるらしいけど、ゾロのヤツ今日出るって聞かねえから困るよなー」
「医者として確かにそれは困るな。お前は自分の右腕がいなくても大丈夫なのかよ」
「んー。とりあえずあいつらはぶっ飛ばしたから大丈夫だろ。それにもし何かあってもナミやサンジ達がいるしな」
なるほど。それがロロノア屋の退院したい理由だな。
「俺としてはゆっくり休んでほしいんだけど、明日には退院するかも知れないからそんときはヨロシクな」
「あー、入院日数やカルテならいくらでもどうにかしてやるよ。いまさら改まって言わなくてもいい」
いつもこっちは巻き込まれる側だ。とやかく言ったって仕方ねえ。
「しししっ!ありがとな!!」
俺が向かってた方向は丁度正面ロビーの向こう側だったために、自然と進行方向が一緒になる。
「それにしても麦わら屋の部隊は大変そうだな。怪我が多くないか?」
「そうか?タイヘンと言えばローの方もタイヘンじゃねーか?ロー、昨日も寝てねーだろ。いつもよりクマが濃いぞ」
なんで気づくだ、コイツ。いつも苛立つくらい鈍いくせに、こんな時は誰よりも鋭い。
「俺、そういうのをなんて言うか知ってるぞ!医者のヨーヨーって言うんだぞ!」
「・・・お前の言いたいことは『医者の不養生』でいいか?」
「あ。そうかもしんねー」
まあ、コイツにしては難しい言葉を使おうとする程度には知っていたってことで褒めるに値するだろう。麦わら帽子をすとんと首にかけた状態にしてから黒い頭をガシガシと撫でる。
「わ、何すんだ」
「よくできたご褒美がガキには必要だろ」
「ガキって言うな!」
ムキーッと麦わら屋は腕を振り回していたが本気じゃないようで俺の手を振りほどかない。俺も信頼されたもんだなあと口端が持ち上がる。思った以上にさわり心地がよくてもう片方の手を上げたところで怒声が聞こえた。



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