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□ハロウィン企画(2010)
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ビストロパロ




「とりっくおあとりーと!」
出会い頭の言葉に今日がどういう日だったかを思い出した10月の末日。

「そう言えば、今日はハロウィンか。どおりで変な格好したガキが街中をうろついてるわけだ」
「おれも今日知ったんだ。でさ、この言葉を言ったらお菓子がもらえるって市場のおばさん達が言ってた」
「ふーん。ってことはお前、意味分かってないだろ」
「お菓子をもらえる不思議呪文だろ?」
「まあ、半分正解だな」
「?もう半分は?」
「・・・後で、教えてやる。で、お菓子ってなんでもいいんだよな」
「くれんのか!?」
「まァな」
「やった!」

材料は砂糖とベーキングパウダーと水。これだけだ。ものの10分でできるこの素朴なお菓子の名前の由来はcarameloであり、ポルトガル語で「甘いもの」を意味するのだと記憶したのは随分昔のことだ。

「ほら」
「これ、初めて見るぞ。今まで店に出したことなかったよな?」
「客に出すようなもんじゃねェ。ガキでもコツさえ掴めば簡単にできるからな」
「へェ。ま、いいや。いただきます!・・・甘い!」
「そりゃそうだ。ほとんど砂糖しか入ってねェ」
「うめェ!これなんて名前だ?」
「カルメ焼き。時々祭りとかで売ってるぞ」
「今度探してみる!」
「そうしろ」

「あ〜、ウマかった!ごちそうさま!」
「よかったな。で、麦わら屋。さっき、Trick or Treatの意味を知りたいって言ってたよな?」
「おう!言ってた言ってた」
「Trick or Treat. この言葉は慣用句みたいになっているが、敢えて文節で区切るとしたら3つ。trick・or・treatだ。orは「〜〜か――」といったときの「か」に相当する。trickは悪戯、treatはお前が言うところのお菓子だ」
「ふーん。つまり?」
「直訳は『悪戯かお菓子』。つまりこの言葉は言った相手に2つのうち、どちらかを選べと迫っているわけだ。易しく言い換えれば『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』という脅しってことだな」
「なるほどな。だから半分正解だったわけか」
「そういうことだ。意味が分かった所で麦わら屋」
「お?」
「Trick or Treat?」




HAPPY HALLOWEEN !!
Please say “Trick”!



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