→話←
□本当のコト
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どーしても、分からないことがある。
俺は真実を話しているのに、何でどいつもこいつも信じないのか。
ねぇ、俺ってそんなに信用無い?
自信なくなってきちゃうよ、全く…。
本当のコト
「カカシさん、俺と付き合ってくれませんか?」
「付き合うって何処に?修行とかなら、今ちょっと疲れてるから今度が良いんだけど…?」
「…………いえ、そういうことじゃなくて。俺と恋人としてお付き合いしてくれませんか、って意味です」
「…………」
今月何回目の告白か、数えてもいない。
俺なんかの何処が良いのかはサッパリ分からないけど、どう言ったわけか、俺は告白されやすい体質みたいだ。
「ダメ…ですか?」
ダメも何も、俺、この人の名前も知らないんだよねぇ…。
最初に所属と名前くらいは言ってから、話しかけてくれればいいのに。
「あのさぁ、俺ね、付き合ってる奴居るから」
「えっ!!!で、でもっ、カカシさんは何年も前からフリーだって聞きましたよ!!」
「じゃあその情報が違ってるんだよ。良かったね、任務中の間違いじゃなくて」
任務中の情報違いは命取りだからなぁ…何て思ってた俺に、目の前の………えぇと忍者Aで良いか?
とにかく、忍者A君は俺に近付いてくる。
「最近付き合い始めたんですか?」
「もう何年も付き合ってんの。言っとくけど、今更別れるなんて考えらんないよ」
「……ッ、じゃあ、せめて…その人の名前、教えて下さい」
「はぁ?」
何で、名前も知らないA君に俺の付き合ってる奴の名前教えなきゃいけないのよ?
まず、自分から名を名乗れーーって言いたいとこだけど、最初に名前聞かなかった手前、今更A君に名前聞くのも失礼だよねぇι
「お願いします、カカシさん……。このままじゃ、諦めるにも諦めきれないんです…!」
しょーがないなぁ。
何かA君、言わないと帰りそうにないし。
暴れられても困るし。
さっさと言って、さっさと終わった方が良いよね?
「ガイ」
「ぇ?」
「だから、ガイ。知ってるでしょ?」
沈黙。
ひたすらの、沈黙。
何か、よく分かんないけど、A君怒ってる……?
「……カカシさん」
「え?」
「俺に、全く興味がないことは、よく分かりました」
「…えっと、、?」
「けど、だからといって!!!」
何っ?
A君、何でキレてんのよ!?
「よりによって、あんな分かりやすい嘘吐かなくたって良いじゃないですか!!!!!」
えぇぇッ?!!
「俺、嘘なんか吐いてなっ」
「どうせだったら、紅さんとかアスマさんとかならまだ説得力あるんですよ!!よりによって、ガイさんとか……分かりやすすぎるんですよ!!!」
「ガイと、紅やアスマの何が違うのさ?!」
「違いすぎるでしょうが!!分かるでしょそれくらい!!!」
「分かんないから聞いてんじゃんか!もう良い、A君のバカッ!!!」
「は?えーくんって……あっ、ちょっ、カカシさん?!!」
ワケ分かんないこと言うA君に腹が立って、その場から去った俺。
失礼なのはどっちもどっちだから、絶対に俺からは謝んない。
「………ってことが有ったんだよねぇ…」
ソッコーでガイの家に上がり込んで、思いっきり愚痴った心狭い俺。
だってさ、腹立つでしょ?
自分の話頭ごなしに嘘だって決めつけられたらさ。
「で、自分の信用のなさに落ち込んでたってわけか」
「そ。ねぇ、なんでA君信じてくんなかったのかなぁ」
ベッドの上に寝転がって、布団に巻き付いて訊ねた。
ベッドの傍らの床に座ってるガイは、研いでるクナイから目を離さずに答えた。
「さぁ……信じたくなかったんじゃないか?」
「どーゆーコト?」
「自分の好きな奴の恋人が俺だってコトを、認めたくなかったんじゃないか?」
「…A君が教えてって言ったのに?」
「俺はソイツじゃないからな、本当のコトは分からんさ」
クナイを仕舞ったガイは、俺の方に片手を伸ばして頭を撫でた。
腹が立ってたのも話してたら落ち着いてきて、何か眠くなってきちゃった。
「寝るのか?」
「ん…泊めて」
ガイの返事は待たずに俺は目を閉じた。
FIN
誰も信じなくても、真実は1つ。