素直になれない(オリジナル小説)

□第二章 素直になりたい
2ページ/6ページ

「あ……」

写真部の暗室を出ると、よく見るカオに出会った。

アオの友達、留野なり子だ。

「あ、あのさ……」

「カイトくん!!アオ、連絡してもぜんぜん出ないんだけど、どうしてるか知ってる?!」

「あ、ああ。旅行だよ。家族と。」

「あ、なーぁんだ。そっか。アオのやつ、連絡ぐらいよこしなさいよねえ。心配してソンしちゃった」

そうか。心配するよな、友達なら……。学校が学祭後の代休日で本当によかった。

「え〜と、あのさ、留野」

「なあに?あっ、アオのことね?!」

「あ……ああ。その、アオはクリスマスに何が欲しいとか言ってた?」

しばらく思案したあと、留野は口をひらいた。

「……これ、私からきいたってアオにはナイショね」

「ああ」

「……笑顔だって」

「え?」

「カイトくんに、笑ってほしいんだって。自分のそばで。だって二人がつきあいだしてから、二人で笑ってるとこ、見たことないんだもの」

「あ……」

そうだっけ?

「あの子、ああ見えて夢見るお姫様なところがあるから……ホントに、一途にカイトくんのこと想ってると思うよ。自分と一緒にいてカイトが笑顔になれないなら、別れたほうがいいのかなってこぼしてたこともあったもん」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ