素直になれない(オリジナル小説)
□第二章 素直になりたい
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「あ……」
写真部の暗室を出ると、よく見るカオに出会った。
アオの友達、留野なり子だ。
「あ、あのさ……」
「カイトくん!!アオ、連絡してもぜんぜん出ないんだけど、どうしてるか知ってる?!」
「あ、ああ。旅行だよ。家族と。」
「あ、なーぁんだ。そっか。アオのやつ、連絡ぐらいよこしなさいよねえ。心配してソンしちゃった」
そうか。心配するよな、友達なら……。学校が学祭後の代休日で本当によかった。
「え〜と、あのさ、留野」
「なあに?あっ、アオのことね?!」
「あ……ああ。その、アオはクリスマスに何が欲しいとか言ってた?」
しばらく思案したあと、留野は口をひらいた。
「……これ、私からきいたってアオにはナイショね」
「ああ」
「……笑顔だって」
「え?」
「カイトくんに、笑ってほしいんだって。自分のそばで。だって二人がつきあいだしてから、二人で笑ってるとこ、見たことないんだもの」
「あ……」
そうだっけ?
「あの子、ああ見えて夢見るお姫様なところがあるから……ホントに、一途にカイトくんのこと想ってると思うよ。自分と一緒にいてカイトが笑顔になれないなら、別れたほうがいいのかなってこぼしてたこともあったもん」