クレヨン日和(オリジナル小説)
□第四章 ちいさな革命
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「何でもいいのよ。最初は……完成させることが大事なんですって。とにかく、なにを書きたかったのかがわかればそれでいいって、じぃが言ってた。たとえばほら、サンドウィッチの話とか!題名は……そうね、サンドウィッチ革命なんてどう?中身はぜんっぜん決まってないけど!」
カラカラと笑うスゥの声を聞きながら、ヒロセは思った。
今日、僕に革命が起きた。
スゥのおかげだ。
今日こそは、書ける気がした。
だって、どんなに下手だろうと一文字でも書ければ今までよりは一歩前進じゃないか?
こんな風に、プラスに考えることができたのはいつだったろう。もう随分と昔のはずなのに、なんだか、今夜はすごく最近のことのように思えた。
スゥのおかげだ。
「見て!綺麗!」
見上げると、青空と夕焼け空が混じっていた。
雲をつれて。
夏のはじまりで日が長いとはいえ、そろそろ暮れる時間だった。