素直になれない(オリジナル小説)
□第一章 素直になれない
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「ね、カイトおにいちゃん。」
「へっ?」
いつのまにか、「自分で着られました!」といわんばかりの満足げなアオがねまき(カイトのTシャツ)姿で立っていた。
「いっしょに寝よう♪」
「え゛っ」
「……だめ?」
(だからやめろよ!「しょんぼり。」ってリアクションは!まるで俺がっ)
――悪いことをしているみたいだ。
でも――と、カイトは思う。
こんな素直な反応を見るのは何年ぶりだろう。
「カイトおにーちゃんは、なにをもらうの?」
「へ?」
「サンタさんに!」
ソファに寝かせ、寝付けるまで、と普段着のままでコーヒーを片手におはなしをする。まだ宿題してないしな。うっかり寝てしまってはたまらない。
「ああ……」
そうか。まだサンタさんを信じているんだな。
(ここで「サンタなんかいないよ」って言ったらどうなるんだろう。)
ささやかないじわる心が芽生えた。
「俺はなんにも貰えないなあ」
「えーっ!どうして?!」
「だって……」
(おわっ!!)
目がうるうるしている。
「おにーちゃん、いい子なのに。かわいそう……」
「い、いや。……」
(やばい。どうしよう。ピュアだ……っ)
どうしようもなくピュアだ。
ピュアな目に哀れみの籠もった眼差しで見られている。
……よし。話題を変えよう。