TOLその後…
□7 騎士の休日(2日目)
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「あれ…?ジッポがない」
クロロは服のポケットを全部調べたが、愛用のジッポが無かった。
「…あの女、ジッポまで持って行きやがった…あれ高かったのに…」
あのジッポはクロロが騎士になりたての頃に初任給で買ったものだった。銀の飾りが施されたそれは当時のクロロにとってはかなり高価だったので思い出の品であった。
「仕方ない…マッチでも買って…」
「…」
そう、彼は無一文だった。
「金が無いってのは不便なもんだな…」
クロロは肩を落として煙草を戻した。
何もする事がないので、ブラブラしていると向こうから二人組が歩いてきた。
「あ、クロっちだ。なにしてんの?」
「おー、ノーマ」
ノーマは同じ宿に泊まっていて、宿のロビーで何度か話をしたことがあったので顔見知りだったが、隣の男の事は知らなかった。
「なんだノーマ、こっちのは彼氏か?」
クロロがにやっとする
「なんでじゃ〜!!違うってば!そんなんじゃないってば!」
ノーマは顔を赤くして食ってかかる。
クロロは大人の余裕でこれをなだめた。
「シャボン娘、そんなムキになって否定せんでもよかろう…わいはモーゼスじゃ。よろしくな、クの字の兄ちゃん。」
モーゼスはにかっと笑って見せた。
(変ななまりだな)
「ああ、よろしくなモーゼス君。ていうか俺のこと知ってるのか?」
「モーゼスでええ。そりゃあクの字の兄ちゃんはワイらの中じゃ有名じゃからの。」
「…なるほどね。」
クロロは苦笑いを見せる。
「だからさ―、クロっちはなにやってんの?」
「確かに。困った顔しとったぞ。」
「…財布落としちゃってさ、一文無しなんだよ。どっか手っ取り早く金を稼げるとこ知らないか?」
本当の事は言えず、とりあえず嘘をついた。
「財布落としたって、ドジだね〜」
「金が必要ならあそこがあるの。」
「お。どっかあんのか!?どこだ?」
ノーマとモーゼスは笑いながら顔を合わせる。
「闘技場じゃ」
そして3人は闘技場のある宿の前に立った。
ノーマたちは面白そうだからという理由でついて来た。
「まさか俺の宿の下にそんないいモノがあるなんてな。今までただの見せ物と思ってたが」
「ここの闘技場は一筋縄じゃいかんぞ、最近はやたらごつい魔物を出してきよる。」
「ま。ぜーんぶあたしらのせいなんだけどね☆」
ノーマは腕を組み、得意気な顔をした。
「へえ。そいつは楽しめそうだ。」