TOLその後…

□11 俺が左で お前が右で
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「も…!申し訳ありません!!私、寝てしまい…って、あれ?」






クロエは目を覚ますと勢いよく起き上がり、部屋の主に謝った。が、クロロの姿は無かった。





「ギルフレイ殿?」




あたりを見回すがやはりクロロはいない。
すると、テーブルの上に目が止まった。




そこにはクロエの剣と帽子、それに頭痛薬が置いてあった。








クロエはベッドから出ると、帽子を被り、剣を持った。
別に頭は痛くなかったのだが、クロロの親切を無駄にしたくなかったので、貰っておくことにした。















部屋を出るときは細心の注意をはらわなければならない。
クロエはドアから少し頭を出して、危険がないか確かめる。








(こんなところを誰かに見られたら…)








そう。この宿には1人、危険人物が潜んでいる。"彼女"に見つかれば確実に良くない事態になってしまう。
"彼女"がいないことを確認すると、クロエは素早く部屋から出て、宿から脱出した。






別にやましいことなど何もないのだが、宿から離れたところまで来るとクロエは胸をなで下ろした。


「はあ〜…」


























「クロエっ!!!」


「きゃあっ!!」



突然後ろから大声がしたので、クロエは思わず悲鳴を上げる。




振り向くとそこにはセネルがいて、ふうーっと息を吐いていた。どこか安心しているようだ。






「クーリッジ?…いや、その今のは…ごほごほっ……急に脅かすな、びっくりするだろう!」




クロエは顔を真っ赤にして怒鳴った。




「わ、悪かったよ、でも…見つかってよかった。」


セネルは手を腰にやり、息を切らしながらも笑っていた。



「…え?」



――自分を探していた?よく見るとかなり汗をかいている。相当走ったのかな……









そう考えるとクロエはやましいことは無いにしろ、後ろめたい気分になり、恥ずかしくなった。



そしてちょっぴり嬉しいなと思った。








―――口には出さないが…


















『俺が左で お前が右で』
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