TOLその後…
□7 騎士の休日(2日目)
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開けた窓から涼しい風が吹き込んでくる。
クロロは病院にいた。
昨日の夜ひどい目にあったので、大事をとって1日だけ入院することになった。
「…」
クロロは思った。
女に騙され、襲おうとして逆に睡眠薬で眠らされた挙げ句、金や持ち物を盗られたという失態を同じガドリアの女の子に知られた以上、このまま生き恥をさらすのでなく、騎士らしく潔く死のう。と。
しかし、やはり死ぬのはやりすぎだろうと思ったのでやめた。
『騎士の休日…』
『…2日目』
コンコンという音とともに、エルザが入ってきた。
「クロロさん、お薬持ってきました。」
「お、ありがとう」
クロロは薬を受け取り飲んだ。エルザはさっきまでクロロとは目も合わせようとしなかったが、ようやく普通に喋ってくれるようになったのだ。
「エルザちゃんようやく俺と喋ってくれるようになったね。」
「はい〜。クロエさんが、クロロさんはいい人だから怖くないって言ってくれたんでもう大丈夫です!」
エルザはにこっとした。
(クロエちゃん。なんていい娘なんだ…)
「そっか。そりゃよかった!」
クロロもにこっと笑って、たばこを取り出した。
「あ!だめですよぉ、院内は禁煙です!」
「え?そうなの?…一本だけだめ?」
クロロは笑顔で頼んだが、エルザは手を腰に当て胸をはった。
「だめです!」
「はい…」
エルザは手を伸ばした
「たばこ渡してください」
またにこっとしている。
「…はい」
クロロは素直に渡した。
エルザが部屋から出て行った後、クロロはやたらそわそわしていた。ヘビースモーカーな彼にとって吸えないとなると、逆に吸いたくなる。
「外行こ」
クロロは部屋を出た。
「クロロさん、どこに行くんですか?」
エルザだ。
「ちょっとヒマだから散歩してくるよ。」
「あんまり無理しないでくださいね、クロロさんは患者さんなんですから。」
エルザは心配そうにしていたので、クロロは笑顔で答えた。
「わかりました。看護士さん」
エルザは少しほっぺを赤くして病院の入り口のところまでついて来た。
「早めに帰ってきてくださいね〜。」
エルザは手を振って見送ってくれたので、クロロも手を振かえした。
そしてエルザから見えないところまで来ると、服の内ポケットから新品の煙草を取り出した。
「ごめんね、エルザちゃん」
箱を開けて煙草を一本口にくわえた。