1stSS

□BirthDay-2010-
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今年は貴方に何を贈ろうか…



ー本当の贈り物ー


ショーウィンドーの前で固まる事数分、溜息と共に足を進める


嬉しい事に今年も恋人である零一さんの誕生日を共に過ごす事が出来る

毎年その日が近づくとプレゼントに何を買っていいかわからず、町をふらふらと徘徊している

気になったお店に入り、商品を手に取り思案する…


何度かリサーチする為に振った会話は軽く流された…


「欲しい物とか無いですか?」

との問いに

「洗剤が切れ掛かっている」

との返事を頂いた……



洗剤をプレゼントする訳にもいかず、結局例年通り町を徘徊中という訳である


誕生日まで後数日……

社会人の零一さんは誕生日だからと言って仕事を休めるはずがない

なので当日、実際に会えるのは上手くいけば19時からの5時間くらいだろう

その日のディナーのレシピは完璧に練り上げているので、後は当日材料の買い出しを済ませるだけだ…


仕事の上がり時間は日によって異なるのでデートも行けるかわからない……


やはり当日のメインは"プレゼント"になる…

しかし、その肝心なプレゼントが未だに決まっていないのだ…


ネクタイ…シャツ…指揮棒…これまで渡してきた物を思い浮かべる…


高校生だった頃に男の子達へのプレゼント選びは割と即決で買えたように思う…

それが彼のものとなると…

すでに3時間近くこのショッピングモールに滞在していた…


最近は暗くなるのが早くまだ時計は17時を示しているのにあたりは薄暗くなって来ていた…

歩道のあちこちに設置されている街頭が灯りオレンジの優しい光りが包みこんでいる


そろそろ帰ろうかと来た方向に踵を返した時にふと目の端にショーウィンドーに飾られていたものが目に留まる


少し駆け足で近付き眺める……


「これなら喜んでくれるかも…」


商品の横に小さく立てかけられた値札を見る……少し予算をオーバーするが、買えない値段ではない…


普段入りなれない店のドアを押しながら入り、店主に声をかけ、包装をして貰う



買ったばかりの物を大切そうに胸に抱えて嬉しそうに笑顔を零す


あぁ、11月6日が待ち遠しい……


その日に思いを馳せながら帰路に着いた




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