1stSS

□white day
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「はぁ」
重ーい溜息を吐いて、お店のショ-ウィンドウを眺めているのは、鈴鹿 和馬であった

今日は3月13日、先月貰ったバレンタインのお返しについて悩んでいる、なんせ明日はホワイトデー



『俺だけのもの』


ショーウィンドウを見るものの、何を買ったらいいのかわからず、その上、ファンシーな可愛らしいお店に入る勇気もなく…
結局、無難な腕時計を買ってみたものの…


今日、いざ学校に来ても、渡すタイミングがわからず、気がつけば放課後に突入してしまった

「何やってんだよ…俺は…」

机に、くたぁっ、とうつ伏せると教室に誰かが入って来た

「なんだ…」
ふと顔を上げると目の前には和馬が時計を渡そうと思っていた本人、東雲 澪が立っていた

「なんだじゃないよ!どうしたの?和馬がバスケの練習に行かないのなんて、珍しいじゃない、何かあったの?」

「げっ、もうそんな時間かよ!?」

ガタっと席を立ち、時計を見る

「なーんてね、実は今日はコーチさんも監督さんも出張とかで予定空いてないから、練習お休みなんだって」

自分の前で少しいたずらっぽい笑みをする澪

そんな澪に和馬は密かに想いを寄せている

初めは確か、ただのバスケ好きのダチだった、でもよ…気付いたら、いつの間にか…
いつも笑顔で俺のそばに居てよ…

確か先月の今頃くらい…そうだ、あの日はちょうど、バレンタインでよ、バスケ部内で「5on5で真剣勝負してみようぜ」って試合した時も、澪の声が聞こえて「何諦めてんだよ、俺!」って感じで思いっきりボール投げたら…

ボールが気持ちいいくらいスッとゴールにきまってよ、澪の方見たら、すっげぇ笑顔で俺の方見てたんだ





「和馬…?どうしたの?」
ボケッとしてた和馬を不思議そうに澪が覗き込む

「なっ!!なんでもねぇーよ!」

「ふぅん…まぁいいや、良かったら一緒に帰らない?」

「え…あぁ、いいぜ、別に」

素直に言えばいいものの、少しひねくれた言い方をしてしまう自分に少し嫌悪しながら、鞄を担ぐ


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