2ndSS

□約束
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さすがは天下の一流大学……門の大きさに驚いて…


敷地の広さに驚く……


それを見てあの人の世界と俺の世界の違いが目に見えてわかってしまったような気がして……少し切なくなる


門から少し離れた電柱にもたれ掛かる


10分……10分待っても出てこなければ帰ろう…

腕時計を見ながら区切りをつける


そもそもわざわざ門前まで迎えにきて迷惑にはならないか…とか…今日も男の人と出てきたらどうしようとか…嫌な事ばかりが頭の中を支配する


ネガティブになる思考に呑まれて行くのを止めたくて携帯を取り出してメールを打つ


[今日、一緒に帰りたい]


ただ一言のメール

すぐに携帯が小刻みに震える

[ごめんね、今日は予定があるから]

メールの返事にため息を漏らす…


携帯を閉じてそれをポケットへとしまうと帰ろうと来た道を戻る



ちょうど門から先程のメールの相手が出てきた




…男の人と一緒に…


先にお姉ちゃんの方が気付いたみたいでひどい顔で…

気まずいのか目線を逸らすから……


気付かなかったふりをして目の前を通りすぎる


来ないと後悔しそうな予感ははずれで…来た事に後悔した


門を少し過ぎた所に渡り廊下で声をかけて来た女の子が居た

その子の前を通り過ぎると

「デートしてあげてもいいよ?」

と小声で誘われる、また少し歪んだ笑い方だ


逆にそれ笑えるよ

「遠慮するよ、お姉ちゃんが例え本当にデートだとしても…俺はお姉ちゃん以外とする気ないから」


またにっこりと笑って去ろうと振り返ると

ぎゅっとその手を握られる

嫌悪感を隠さないでその手を振り払う

目の前には傷ついた顔のお姉ちゃん………


「違っ!!」

慌ててつかもうとした手はむなしく空振って…



感情も隠さずに「くそ」っと吐き捨てる


逃げて行くお姉ちゃんの後を追って全力で走った


目の端には涙目のあの子の姿がある…

でも今は他人の事なんて気にしている余裕もなくて



目の前の愛しい人を追いかける



駅のホームへ入る…いつもの定期でスムーズに入って行く……片や慌てて切符を買う俺……間に合う訳なくて


急いだけど僅かな差でドアが閉まる


ゆっくりと目の前を過ぎ去って行く電車の窓から後ろ姿が見えて……ぐっと胸を鷲掴みにされたように苦しくなる






そんなの……












ずるいよ………
























5分後に来た電車へ飛び乗り窓の外を見ると空がだんだんとオレンジ色に染まってきていた


眩しくて……綺麗で……心に染みる…そんの感覚にぎゅっと手を握り締めた……



流れていく街並みに目頭が熱くなる

ごまかすように目を背けて下ばかりみていた




目を閉じれば、先程の傷ついた顔が焼き付いてるみたいに瞼の裏に映る……


消したくても消せなくて…辛さをただ耐えるように電車に揺られた

最寄駅に着くとまた駆け足で降りて改札をくぐる


握られた切符はくしゃくしゃになっていて

改札に通るかなと少し心配になったが、問題なく通してくれた



そこからはまた全力疾走……追い付けるなんて初めから思ってなくて、全力で走りたかっただけかもしれない


頭の中のシュミレーションは嫌な映像(もの)しかなくて、それを振り払いたかっただけだ…


自宅の前に立つ……隣の家の窓を見ると明かりが点いてる

先程までのオレンジの空をだんだんと紫色に変わり始めていた





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