1stSS

□-whiteday-2010‐
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卒業式を迎えてから日々はゆっくりと確実に過ぎて行き

いよいよ今日は…3月14日…


卒業式の日、氷室先生…もとい零一さんとお付き合いを始めて今日が初めてのデートなのだ…

教師という職業柄中々会う機会がないと思っていたのだけれど、バレンタインのお返しがしたいと零一さんの方からわざわざお誘いして来てくれたのだ

嬉しくて今日は目覚ましがなる前に目が覚めてしまった

昨日の夜に用意した服に腕を通して、髪をセットし、ほんの少しだけお化粧もした

朝食を済ませて、歯磨きを念入りにして、もう一度鞄の中身を確かめる

靴も玄関にきっちりと揃えて置く

朝8時の時点で準備はもうすでに終えてしまっていた

零一さん…との約束の時間は10時…

逸る気持ちを抑える為にクラシックCDを聞きながらゆったりとした時間を過ごす

しかし、ちらちらと時計を気にしてしまい、CDの世界観を味わう事は出来そうに無かった


階段を降りる足音が聞こえて、尽が起きたのだと、自室を出る


「尽、おはよう」

どうせ、集中出来ないのならと弟相手に時間を潰す


付いて行くように階段を下りると先に下に着いた尽がくるりと振り向き

「おはよ」

とまだ少し眠たそうな顔のまま「はい」と小さな包みを手渡される

それを受け取ると「ありがとう」と返す

まったく、バレンタインの毒見にわざわざお返しをするあたり律儀な弟だと思う


顔を洗ってさっぱりとして、朝食を食べる尽の前に座り、先ほど貰ったマシュマロを摘む

「ってか、今月くらいボーナスくれても良いと思わない?姉ちゃん」

朝食の目玉焼きを乗せた食パンを口に含みながら悪態を吐く

「無理にお返ししなくてもいいんだよ?」
とマシュマロを口に運びながら答えると、「1個くらい増えたところでそんなに変わらないよ」と絶望感漂う目で訴えられた

年々お返しの数が増える尽に、組の男子の恨めしそうな顔が浮かぶ…


「でも、姉ちゃんには今年は要らなかったかもね」
と少し拗ねたような目を向ける

「尽のは毎年カウントに入れてないの!特別なの!!」
苦し紛れないい訳をする

毎年零一さんにのみ本命チョコレートを渡していた

律儀な零一さんの義理だと解るお返しに、慰めだと解る尽からのマシュマロ…

でも、毎年少しずつ零一さんからのお返しのグレードが上がって来ていた…

今年はなんといっても去年までとは比べ物にならない

尽からの慰めマシュマロも今年で食べ収めかもしれないと思うと、悪いものでもない


最後の一つのマシュマロを口に含みながら時計に目をやる

まだ一時間もある

尽も朝食を食べ終えてコーヒーを口に流し込んでいた

二階へとあがり服を着替え、鞄をしょい込むと玄関で靴を履く

マシュマロがいっぱいの紙袋を持って行ってきますとドアを開けて学校へと出かけて行った


暇すぎる時間はニュースでも見て時間を潰すことにした



約束の時間の10分前には待ちきれなくて家の前で待つ事にして、ドアを開けると目の前に車が既に止まっていて

窓から零一さんがこちらに気づきおはようと微笑んでいた







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