1stSS
□eternal ring
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…――この幸せよ…どうか永遠に――…
eternal ring
「うん、上出来、上出来♪」
コトコトと音をたてる鍋の前で、彼女、東雲 澪はそう呟いた
「後は帰ってくるのを待つだけっと」
鍋の火を止めかけた時、玄関の方でカチャカチャと鍵の開く音がする
ドアが開くと澪の待ちのぞんでいた人が入って来た
「澪来ていたのか」
「おかえりなさい」
パタパタと駆寄ろうとすると
「火はちゃんとけしたのか」
と言われ、慌てて消し忘れた火を止める
「危うく、今日は夕食を食べ損ねるところだったな」
と優しい笑顔を向けるこの人は、澪の通っていたはばたき学園の担任の教師であった 氷室 零一 、卒業式の日に零一に告白されて2人は交際を始めた
「ごめんなさい…」
少し、しゅんとしたような表情を見せると、零一は戸惑う
そんな様子を見るのが澪好きだった
学校では決して見せない、自分だけが知っている表情だ
「いや、私こそキツく言過ぎた…スマン…」
普段はかっこいい零一が、可愛くみえる、澪はこの瞬間も大好きだった
「先生、おかえりなさい」
笑顔を向けると
苦笑混りに
「ただいま」
と返ってくる