小説(原作沿い)

□声を失ったにゃんこと、おっきいわんこの話
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※原作パロ。


※診断結果が元ネタです。


大丈夫なかたはおすすみください。













「おまえのせいだ」


血でそまった手がなんぼんもの、ファイに伸びる。


こわくて。


つかまりたくなくて。


暗闇の中、必死で逃げた。


「双子は凶」


暗闇の中、声が響く。


女性なのか、男性の声なのか、判断つきにくい声だった。


ケタケタと声は笑っている。


一つかと思った声はいつのまにか増えて、複数がケラケラ笑っていた。


嫌な笑い声だった。


眉をひそめ、不快感をだく程に。


(そんなの)


知っている。


自分のせいだということは。


(助けて)


涙がこぼれでた。


涙をふくことはせず、ただ、逃げまどう。


顔をしたたりおちて、涙は服へ、地面へと落ちた。


ここは夢だろうか。


地獄だろうか。


地獄ならば、自分は炎にやかれて何度も殺されるのだろうか。


似合うの場所だと自嘲する。


だって、周りを不幸にしたのはファイなのだから。


(でも、オレは)


不幸になんかしたくなかったのに。


だれ一人として。


(助けて)


ぜぇぜぇと息をする。


(だれか)


誰に。


誰に助けをもとめたら。


ここには他のひとなんていないのに。


見当たらないのに。






「つ   か   ま   え  た」






声が聞こえ、唐突に場面が暗転した。




◇◇◇◇◇



はっと目がさめると、美しい木目の天井板が目に映る。


ここはどこだったけ、と思いだし、セレス国から移動したのだと

ファイは思い出した。


日本国についてからは記憶がない。


ただ、大けがをしている黒鋼の体に縋り付いて泣いていたのは覚えている。


汗がしたたりおちる。


いやな夢をみてしまった。


なにかにおいかけられる夢だった。


汗をぬぐう。


「ファイー!」


障子があいて、モコナがぴょこんとファイに跳ねてくる。


ぴょこんと跳ねるたびに、白くて長いモコナの耳が動いた。


小狼も、一言ことわってから入室した。


ファイの傍に小狼が座る。


「日本国についてから、ファイ、倒れちゃったの。

だいじょうぶ?お熱ない?」


モコナがファイを見上げて聞いた。


ファイは答えようと口をひらいたが…。


声にならない。


ぱくぱく口がうごくだけだ。


「…っ?!ぁ」


「ファイ?!」


「声が出ないのか?」


うん、とファイが青ざめて頷く。


何度声を出そうとしても、やはり、声はでなかった。



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