■時事短編■

□Day of Child/5月
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「サスケくん、柏餅食べる?」
「食わねえ。」

満面の笑顔のサクラと皿に盛られた柏餅には少しも目をくれずにサスケは言い捨てた。
「言うと思った。」
サクラは柏餅を自身の口に運ぶ。
「今日は子どもの日だよ?柏餅食べないと大きくならないよー?」
わけのわからない事を言うサクラにサスケは読んでいた本から目を離して、
「じゃあおまえたくさん食えよ。」
ニヤリと笑って言うと、
「…どうせ小さいもん…」
拗ねた様に自身の胸を隠すサクラに思わず破顔した。
大きくしてやろうか、と訊ねるとサクラは茹でダコのようにな顔色でぶんぶんと首を横に振る。
その様が可笑しくてサスケは声を出して笑った。


「サスケくんって子供好き?」
しばらく大人しく柏餅を食べていたサクラに不意に聞かれた。
「子供?」
聞き返すとサクラが頷く。
「嫌い?」
首を傾げる仕草を可愛いと思った。
「うるさいから嫌いだな。」
おまえは?と問われサクラは、
「え?う、うん、あたしも嫌い!子供ってホントうるさいよね〜!」
サスケに同意した。

打算的なのかそうでないのか。

サスケはこっそり笑うと、
「だよな。子供なんか作りたくねぇよな?」
サクラに今度は同意を求めた。
「えっと…それはその…」
言い淀むサクラに、
「おまえもそう思うだろ?」
わざとにっこり笑って念を押すと、
「……………ぅん……」
小さくサクラが返事を返した。
「だよな。俺たち気が合うなぁ?」
サスケがそう言ってサクラを抱き寄せる。
複雑そうなサクラの表情にサスケは必死に笑いを堪えた。
「サスケくん…また意地悪してる?」
さすがに簡単には騙されないサクラに、
「何が?」
サスケはとぼけた。


サクラが子供好きなのは知っている。
普通ならたとえ嫌いでも好きと言うの所をサクラは自分を取り繕うのではなく、サスケに同意した。
どちらも相手に嫌われない為の嘘だろうがサクラの言動はサスケの知る「普通」をいつも易々と覆していく。

だからきっと、サクラを選んだんだ。


「…あのね、サスケくん…」
サスケに抱き締められたままサクラが困った様に口を開くが、
「サクラが子供が嫌いで助かったぜ。」
わざと先回りしてサスケが言うと、サクラは何も言えなくなったようだった。
サスケは小さく笑うと、

子供は嫌いだけどサクラとの子供だったら悪くない。

心の中で呟いた。





■Day of Child■
        ■FIN■

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