■短篇■

□夢みたあとで
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「サクラ!!!」


今まで聞いたことのない位大きな声でいきなり呼ばれ、驚き飛び上がったサクラは手にしていた包丁をあやうく落としそうになった。
寸での所で包丁を取り直し静かに置く。そうして寝ているはずの恋人がいる寝室を覗いた。

「…サスケくん?どうしたの?」
少しだけ開けたドアの隙間からおそるおそる声を掛けてみても返事はない。
サスケはまだベッドの上。
ゆっくりと近付き顔を覗き込むと、

「…寝てる…?」
拍子抜けしてしまう。
けれどサスケの目は閉じられたままで聞こえてくる規則正しい寝息。
それらはサスケが今だ眠りについていることを物語っていた。
「…何見てんだよ…?」
サクラの気配に目を覚ましたサスケと目が合った。
「………。」
思わずマジマジとサスケの顔を見つめて、

寝起きもカッコイイなぁ…

そんなことをぼんやり考えた。
「何なんだよ?朝っぱらから…」
自分の顔を凝視してくるサクラの横を通り過ぎ、
「飯、出来てるのか?」
サスケのその言葉にサクラは慌てて台所へ飛んで行った。



彼はいつだって冷静沈着な人。

何があっても我を忘れたりしない人。


あんな風に彼らしからぬ大声で。

形振り構わずに自分の名前を叫んでほしい。



二人向かい合って朝食を食べる。
サスケはさっきの夢?を覚えていないのか。

サクラはこっそりサスケを盗み見する。

「どんな夢だったのかな…」

一度でいいから。

「…現実でもあんな風に言ってくれたらなぁ…」

絶対ないけど。

「あ?」
耳敏いサスケに訝しまれ、
「ううん。何でもない。」
サクラは慌てて首を横に振ってごまかした。



ねぇ

私のこと
取り乱しちゃうくらいに
想ってよ





■夢みたあとで■
■FIN■

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