■短篇■

□グッドモーニングコール
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「サスケくん、朝だよ。」
起きて、と肩を揺らされ、サスケはサクラに背を向けるように寝返りを打ち、布団を頭から被った。
もう少し寝ていたい。

「いいお天気だよ。せっかくお休みなんだし、散歩にでも行こうよ。」
サクラが尚も言い募る。
「…一人で行ってこい…。」
サスケはそれだけ言うと、また深い眠りに誘われていく。
「そんなのつまんないじゃない。」
頬を膨らませ訴えるが、サスケからの返事はない。

「ねぇ、サスケくんてば。」
肩を揺らされる。

…うるさい…

半分夢の中のサスケは眉をしかめた。

「起きてってば!」
据えかねたサクラがついに布団を剥がす。
「………。」
無言のまま、体を仰向けにすると、ここぞとばかりにサクラがサスケの両肩を揺する。
「ね?起きてよ、サスケくんー。」

…うるさい…。

かまって、とすり寄るサクラを引き寄せ、唇を塞ぐ。
サクラが目を白黒させているのがぼんやり見て取れた。

「サ、スケく…」
たかだかキス一つで恥じらうサクラ。

今更だろ。

サスケは小さく笑うとサクラをそのまま布団に引きずり込んだ。
「ちょ、ちょっとっ…サスケくんっ…」
慌ててもがくサクラを易々と組み敷くと、代わりにとばかりに非難を浴びた。
「待って待って!
サスケくん、寝ぼけてるでしょっ…起きてってば!」
「…おまえ…朝っぱらからうるさい…」
「だってサスケくんがっ…」
尚も動くサクラの口をもう一度、自身の唇で塞いだ。
先程とは違い、舌先で閉じられたサクラの唇を撫で、口を開けろと強要する。
しばらくは抵抗するようにしていたサクラだったが、
「んっ…」
息苦しさに喘いだ隙に、サスケの舌が滑り込んできた。
さんざん貪ってようやくサスケが唇を解放すると、目に涙を滲ませて、悔しそうに睨みつけてくるサクラと目が合った。

「まだ朝だよっ…」
サクラの体をなぞりだしたサスケの手を掴むと、耳まで真っ赤に染めてサクラが恨めしそうに言ってくる。
「朝だから、だろ?」
余裕綽々に、サスケはにやりと意地悪な顔で笑った。
「…寝ぼけてなかったんでしょ…」
サクラの言葉に、
「さぁ?」
サスケはとぼけた。

「ゆっくりして、一緒に昼寝しようぜ。」
「……っ…」
サスケの言葉の意味を悟ってサクラは答えに窮して戸惑うが、
「イヤか?」
サスケに改めててそう尋ねられ、複雑そうに了承した。


「…たまにはちゃんと起きてよ…。」
負けず嫌いな彼女の悔し紛れな言葉に、サスケは生返事を返した。





■グッドモーニングコール■
       ■Fin■

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