■小説■
□ぎゅっとして
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浅はかかもしれないけれど、ずっと抱えてる悩み。
大人になっても、環境が変わっても、二人の距離が縮まっても。
どうせ、あなたは気付いてないんでしょ。
きっと、あなたは考えたこともないんでしょ。
だけど、私はずーっとずーっと考えてる。
その答えをずーっとずーっと探してる。
どうすれば、あなたは私だけのものになるのかな?
いつになったら、私はあなたの一番になれるのかな?
■ぎゅっとして■
眠れなくて何度目になるか知れない寝返りを布団の中で打つ。
「…はぁ…」
零れる私の溜息ももう何度目になるか分からない。
溜息を吐くと幸せが逃げちゃうって聞くけど…
きっと一生分の幸せ、逃がしちゃったかもしれない。
それくらい、溜息。
時計を見ると、もう真夜中。
一人きりの部屋と布団は何だか広すぎるように感じられて。
寂しくて枕をぎゅっと抱き締めた。
「…まだ、帰って来ないのかな…」
いつでも、傍にいてほしいって思うのは我儘なこと?
いつだって、隣にあなたがいないと寂しいって思うのは変かな?
私にとってあなたはかけがえのない存在で。
他の何よりも大きくて大切なものなのに。
あなたは違うの?
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