*tennis
□*掴みきれない君。
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どうしようもなく、
ただ、どうしよもないことで、
喧嘩して、擦れ違った。
こんなことになるくらいなら、
いっそのこと、
会わなければよかったのに。
そんな思いが渦巻いた明くる日の朝。
俺は、奴に性欲処理機として扱われ、昨日から散々抱かれ続けていた。
こんなに抱かれて、何もかも考えられなくなって、抵抗しようにも奴から与えられる快楽に身体が全身で待ち望んでいるかのように受けとめ、抵抗するだけ無駄だった。だから、俺はもうここで墜ちていくしかないのだ、と快楽に犯される思考でそんなことを考えた。
「………何や、まだ考えられる程の頭、あったんかいな。早よ素直に俺に縋れば楽にしてやる言うてんのに、ホンマ強情なやっちゃなァ…」
そう言い終わるなり、奴は何度も自分の欲望を出し入れした秘所に指を3本程突っ込み、それをバラバラに動かした。途端に、びくびくっ、と身体が陸にあがった魚のように跳ね、奴から与えられる快楽に一瞬抵抗を見せると、それを奴は見逃さずに、男なら一番感じる場所に指を擦り付けられ、俺は呆気なく自身の欲望を解放したくなるほどの快楽を感じていた。
「っ、あっ、ん…あ、も、やめっ…!!い、く…っ!!」
「…そんなに、イきたいん?」
意地悪い聞き方に腹が立って、だけれども快楽のせいでイきたい、と言葉にすることはできず、ただただ嬌声をあげていた。
「あぁっ、ん!!はっ、も、おしっ…」
「早よ言いなや、イきたいです―て。もう我慢ならんからココに俺の挿れてくれーてな」
奴はそう言いながら、俺の自身を片手で抑揚をつけて扱き始めた。同時に前後を弄られて、びくびく、と身体が震え、脚の間にある中心も早く達したいとばかり硬度を増し、涎を垂らし続けていた。
「…あぁっ!!あ、あっ、あぁ…っ、く、たりっ、」
「…ん?何言うたん、今。もうちょい大きな声で言うてみ?」
―――卑怯、だ。
分かってて言う、焦らす。
最低な野郎だ。
そんな奴に抱かれ、嬌声をあげている俺自身が一番最低なのかもしれない。
それでも、
「………景吾、」
―――奴が、たまにこうやって甘く名を言うから、言うしか、従うしか、俺にはないのだ。