*tennis

□*不可解すぎる謎。
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散々乱れ切った後は、余韻に浸ることもなく彼との甘い時間を過ごすわけもなく、彼が寝ているときを見計らって、こそこそと洗面所へ向かう。
ベッドから降りる間際、例のごとく身体や腰にずきり、と鈍い痛みが我を襲うが、そんなものは関係ないと、手で腰を支え、ふらふらになりながらも片方の手で壁に手をつきながら、漸く洗面所へと足を踏み入れた。
そこの電気をつけ、洗面台の鏡を見た途端、首筋から至る所まで真っ赤に生えている華に唖然として、慌ててそれに近寄った。もう腰の痛みなんてどころではなかった。

「…っ、ンの野郎…!!」

ぎり、とそれに映る自分の身体を見つめながら歯軋りすると、口からは悪態がついて出た。
あれほど、"アト"は残すなと、いつも身体交渉する手前には言ってあるのに、今日はどういうわけかいつもよりそれが多い。
つまりは、自分が何を言おうとも下で乱れる立場である以上、彼は約束を守ることはまずない。ありえない、と言った方が正しいのかもしれないが、こんなことなら、彼の言葉に賛成などしなければよかった、と今更ながらに後悔を覚えてきていた。
しかし、後悔は先に断たずというのは上手い具合にできたものだ。それを分かっていながら、自分は彼と契約を結んだのだ。後悔するぐらいなら、彼の掌で上手く転がされといてやろう。その方が面倒なことは一切ないだろうから。

「…ッ!!」

鏡に映った相手に、内心どきり、と心臓が跳ね上がった。
振り向かなくても、ご丁寧に鏡が誰であるかの証明をしてくれている。
背後から包み込まれて、やめろ、と抵抗を全身で表現するも、先程まで身体交渉していたせいもあり、普段の半分も力が入らなかった。その上相手も自分も一糸纏わぬ姿であるから、余計に肌の温もりと熱伝導が往来するのも仕方がないことだとは分かっていても、悪態を吐かないわけにはいかなかった。

「てっめ…サカってんじゃねぇよ…!!明日体育あるってのに着替えられねぇじゃ…ァ、ちょ…っ!!」

「…別に、えぇやんか。お前は俺のですーて言う証明にもなるし、後虫除けにもなるしな…」

ちゅっ、と項にキスしたかと思えば、そのまま舌を這わせて下方に降りていく。その這わせ方に、ぞくぞくっ、と脳に快楽の痺れが奔って、それを隠すように必死に快楽から、彼から逃れようとする。

「…ァ、あ…ッん、やめっ…!!」

快楽を与えられれば、口からついて出るのは甲高い甘い声。彼曰く、その声が自分を可笑しくし、熱をあげていくのだという。自分にとっては、それは俄かに信じがたいことで、彼の気持ちなど分かるはずもなかったが。快楽に支配されながらも、そんなことをつらつらと考えているうちに、ついに彼の舌は双丘の狭間にある秘孔へと辿り着いていた。
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