*tennis

□藻掻いても藻掻いても見えるは果てしなき空の向こう。
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藻掻いても、藻掻いても。
消え去っていく。
彼が、自分がいなくても大丈夫だと豪語したせいだ。
あんまりにも腹がたって。
帰り道間際。
そこらへんで、抱いてやろうか。
と思ったぐらい。
それほど、彼に対して。
気持ちが高ぶっていた―――。


嫌だ、と睨み付けて。
身を捩って。
それだけでも、気持ちが高ぶりを見せるというのに。
分かってやってるん?
だなんて妖笑を零して言ってやると。
ふざけんな、とばかり怒声がとんできて。
いつもなら。
ここで俺が謝るのだが。
今日ばかりは。
引き下がるワケには。
いかなかった。


―――すべて、彼が、悪いのだ。


自分に殴りかかろうとしていた、彼の拳を。
受けとめて、そこから。
そこから。
拳を作っていない方の手と。
それとを持って。
彼の頭上で一まとめにして。
草むらに押し倒した。


彼の言うことなんて、もう右から左。
聞こえちゃいない。
文句も、罵りも。
何もかも。
快楽を与えてやれば。
素直になることが分かっているから。

首筋に吸血鬼が血をもらうように噛み付いた。
すると。
ふわり、と彼の髪から甘い。
甘い匂いが鼻を掠めて。
目眩、目眩、目眩の連続。
それにすら、欲情して。
何もかも無視をして。
快楽のみを与えていった。


外でシているせいか。
彼の感度がいつもより良好すぎて。
中心部には何も刺激を与えていないと言うのに。
彼は、早々と絶頂を迎えてしまった。
これでは、面白くない。
と思って、無駄に流れる蜜の根源を。
ぎゅっ、と強く握ってやれば。
彼は思い切り大きな声をあげ。
無意識に腰を振り、身悶え。
快楽を自分の中に取り込もうと懸命だった。
が、そんなのを許すわけにもいかず。
強弱をつけて扱いて、絶頂が近いかな、と思ったら。
また根源を握り締めて。
達せないように意地悪く攻撃を繰り返した。

嫌々、と首を振り。
涙を流し。
ぐちゃぐちゃになっている彼の顔、腹に巻き散った蜜の数々、引っきりなしに蜜を零す中心部は。
簡単に俺の理性を崩していった。
彼は。
全部がイヤラシイのだ。
その快楽に歪んだ顔も。
淫らな赤い苺のような舌も。
無意識に全身で俺を誘う姿も。
全部、全部が。
淫らで妖艶だった。
かつて、こんなにのめり込むような人に出会ったことがあったか?
自分を崩すような存在も。
出会うべき人であったと仮定したならば―――?
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