文章
□孤独
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ここにいても貴方に逢えないこと,
分かってた
あの後…
雪乃が,歪みの国の住人が消えてしまったあの後,私の生活はとても静かなものになっていた。
今までだってそうだったのかもしれないけれど,歪みの国はあまりにも個性的で賑やかだったから,こっちの世界の事なんてあまり気にしなかった。
それなのに,ぷっつりと世界が途絶えてしまってからは私の頭の中はひとつの事しか考えられなくなった。
おかしいな,前までこんなじゃなかったのに…
[…チェシャ猫…]
確かに大切だった。
チェシャ猫と過ごした時間は楽しかったし,好きだとも思った。
でもそれは友達としての好き,なはずだったのだけれど…
切なくて
切なくて
悲しい
逢いたい
そんな事ばかり考えてしまうのだ。
歪みの国は今も私の心の中にある。
望めばいつだって出て来てくれるはずなのに。
[君が望むならって,言ったじゃない…!]
望んでも望んでも,出て来るのは虚しさだけ。
きっともう私が元気になったから,心配しなくても大丈夫だからだよ
だから前を向いて歩けばいいんだ
って自分に言い聞かせる。
納得したフリをする。
自分に嘘をつく。