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□終わりと続き
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*+*終わりと続き*+*
[ぱん! つー! 丸! 見え!!]
いきなり後ろから男の声とパンッとゆう音がした。
[えっ!?]
驚いて振り向く。
だがそこには誰もいなかった。
[………。]
あるのは電柱と家の塀だけだ。
音だって,風の音しかしない。
[チェシャ猫…?]
いやいや,チェシャ猫なんかがこんなこと言うはずないわ…。
亜莉子はぽつりと呟く。
だってチェシャ猫は…,歪みの国の住人達はあれから姿を表さないのだもの。
私が真実を知ったから……
きっと関係ないもの,近所の子供よ,大丈夫…!
[あっ…はやく帰って夕飯の準備しなきゃ…]
また歩き出した,その時だった。
[アリ…]
後ろから男の声が聞こえた。
[………ぇ?]
振り返っても,やはり誰もいない。
[リ… アリ… 僕の… ァリ…]
その言葉は,あの時と似ていて…
[―――!?シロウサギ…!?]
そんなはずない!!
シロウサギは私があの時刺したもの!!
シロウサギは… 雪乃は…!!!
すると
ポタリ…
電柱から一つ,滴が落ちた。
それにつづいてパタタ…と落ちてゆく,赤い赤い滴は,シロウサギを刺した時のように綺麗だった。
[…っきゃああぁああああっ]
本能で足が動く。
声とは反対側に駆けて行く。
しかし恐怖にはかなわなかった。
足が絡まった。
ズサァッ――
亜莉子は倒れた。
制服のスカートはめくれあがり,膝はアスファルトで擦りむいていた
―カツン,カツン…
足音が背後で止まった。
パタリ,パタリと頬に生暖かい滴が落ちた。
赤い赤い血が。
―――ガシャンッ
[キャッ…]
思わず目をつむる。
目の前に何か落ちてきたのだ。
恐る恐る目を開けてみるとそこには―…
私そっくりの,人,形…
[リ…アリ…… 僕の…]
[アトハ…ノヂダヶ…]
[っ…!!!!!きゃああぁああああっ!!!!!!]
私は起上がり走った。
膝の痛みなど関係ない。
そんなわけない,と自分に言い聞かせる。
[そんなわけ…ない…。 絶対にありはしない…!そんな…!!!!]
道端に残るのは,小さな血だまりが一つと男と人形だけになった。
男はゆっくりと屈み人形を拾う。
[あとは… あの布地だけだ… ]
男は静かに微笑む
眼鏡の奥で怪しく光る目。
[あの制服布地さえ手に入れば… 亜莉子ちゃんが…僕の…僕だけの亜莉子ちゃんができるのに……!]
鼻から出ている血などお構いなしに人形の頭を撫でる。
[それにしても今日は良い日だ亜莉子ちゃんのパンツが2回も見れ―…ぶッ…]
―翌日,道端に血だまりが複数あるとのことで,警察が向かったところ,血だまりの横にダイイングメッセージかのように名前が記されていた
[僕のアリ―]
END