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□Good-Night-Baby
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『…何だ、これは…』

「あ…、遙さん…おかえ…」

「あばぁっ!」



- Good-Night-Baby -


家に帰ると…。

そこには、愛しき、ミィの姿……と。



「あぶぅ〜」

『どこから、拾って来たんだ』

いるはずのない、生命体の存在。

平静を装っているものの、心の内では、
動揺を隠しきれない。



『何時、身籠もったんだ』

そして、何時、産んだ。

少なくとも、今朝までは、ミィのお腹に
膨らみなんてなかった。

当然、これまでも…。


俺の目が節穴だっただけなのか…?



「…んぅ?」

「んうぅ〜」


ミィの真似を、しなくてもいい。



『どうして、黙ってたんだ…』

「ごめんなさい…、急だったから…」


急?

急に孕んで…急に産んだのか?


…いや、そんなこと…ある筈ない。

有り得ない。


落ち着いて考えるんだ…。



『…俺の子か?』

「……え?」

『俺と、ミィの子か?』

失礼な言い方だ、そう思う。

ミィは俺が初めての相手で…、
孕んだなら、俺の子供に間違いない。

俺以外に、考えられない。


実際、孕んでしまうような行為を、
過去に何度となく繰り返して来たことも
あった…。

孕むことを、望んでいたこともあった…。

だから今更、こんなことを聴くなんて…、

筋違いも程がある。



「……あ、の…」

「んぎゃぁぁ…」


突然、ミィとの会話を裂くかのように。

けたたましい、泣き声が鳴り響く。


勿論、ミィのではない。

ミィの腕の中にいる、生命体からだ。



「よしよし」


よいしょ、と立ち上がり。

ポンポン、と、おしりを軽く叩いて、

揺らしながら、赤ん坊をあやす。


思わず、ミィの未だ見たことのない姿に…
目を奪われ、見惚れてしまう。



「誤解してるよ、遙さん。遙さんの子じゃ
ないよ」

『なら…ミィの、隠し子か?』

「違います」


あたしの赤ちゃんじゃありません、と、
即座に出てくる、否定の声。

それを聴いて、安堵の息を漏らす。


俺以外の輩との間に、子供が出来たら…。

考えただけでも、腑(ハラワタ)が煮えくり返る。

sexした、と聴いただけでも、嫉妬で
狂ってしまいそうだ。



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