T

□pseudo-marriage
1ページ/7ページ



「どう? 遙さん」

『…ミ、ィ…』



- pseudo-marriage -



目の前には、純白の、

汚れのない、

ドレスを身に纏った…、


愛しき人の姿



「まだ…感想…、聴いてなかったから…」


どう?、と、俺の顔を見上げ、尋ねる



『……』

自然と、上目使いになる、黒目がちな瞳

露呈した、白い肌


無自覚で…可愛いことをしてくれるな…



「遙さん? 聴いてる?」


聴いてる、

聴いてるとも



「なんとか、言ってよ…」

『……綺麗だ』

本当に、綺麗だ…

表現する言葉を、無くしてしまう位…



『…髪の毛…』

「巻いてもらったの」

『初めて見た』

黒い、ストレートの髪は…

くるくると巻かれ、左側に纏めて、

緩く、結われている


指先で、いつもとは違った触感を楽しむ



「二人きり、だね」

『ああ』

静かな教会

新築の白を基調とした、ガラス張りの
教会には…俺と、ミィしかいない



「おじさんの、白いスーツ姿、初めて
見た」

『そうか』

スーツというか…礼服、か?



「かっこいい」


白いドレスとは、対照的に、

真っ赤な顔をする、ミィ


…可愛い奴だな…



「あの…、ごめんね、おじさん…」

『ん?』

「おばあさまの…思いつきに、
無理矢理、つきあわせちゃって…」

『いや…、いいんだ』

そう、事の始まりは、香代姉さんから

これは、先週にまで遡ることとなる…



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ