T

□jealousy
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『そのネクタイ、好き』

「…そうか?」



- jealousy -



私の大好きな、

モスグリーンの、ネクタイ


おしゃれなデザインで、
いい色合いで、

おじさんに似合ってて…好き



『おじさんが、選んだの?』

「いや、」

『ふぅん』

おじさんが選んだんじゃ、ないんだ…


じゃあ……



『プレゼント?』

「ああ」

『……女の人?』

思ってたこと、

そのまま…、口から出てしまった



「ん」

『……』

女の人からの、プレゼントでしたか


平然と、涼しい顔で…

よく、そういうこと、言えますね…


そりゃ、おじさんは…

あたしよりも、
干支の、ひと回り以上も早く産まれて…

その、ルックスですから…、


女性たちは、
ほっとくワケ、なかったんでしょうね…



「ミィ、」

『……』

すごく、モテたんでしょうね…

ハーレム、築き上げたんでしょうね…



「ミィ…」

『……』

なんだろ…、この気持ち…


もやもやして…

気分、悪い


むかむかする…



「気になってるのか?」

『別にっ』

言い当てられて、

ぷいっ、と、そっぽ向く


…悔しい…



「ミィ、」


突然、腕を引かれ…、

おじさんの膝の上へ


ジッ…、と、無言で見つめられる


下を向くと、顎を掴まれ、

無理矢理、顔を上げられる


なんですか……?





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