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□When you wish upon a star.
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今日もまた、彼女のいる病院に、病室に、足を運ぶ。
『よお、』
「あ、朋くん」
『具合はどうだ』
「うん、良好だよ」
いつもの挨拶を交わし、プリンを手渡すと、ベッドの脇のパイプ椅子に腰を下ろす。
「…朋くん、…昨日は変なこと言って…ごめんね」
ぽつりと、俯き様に言葉を零す。
「一人で病室にいたせいか…ちょっとナーバスになっちゃったみたい」
そうして見せた笑顔は、取って付けたような…淋しげな作り笑顔で。
俺は、彼女のそんな顔が見たいんじゃない。
『俺は…記憶が戻ったかを確認する為に、毎日病院に足を運んでいるんじゃない』
彼女にそんな顔させるくらいなら…記憶なんて一生、戻って来なくても、いい。
記憶なんて、いらない。
『俺はお前が…生きていてくれれば、いいんだ』
「朋、くん…?」
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