奇家
□天然(リリー)登場
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輝の話だと、孤児院に不思議な女の子が拾われて来たらしい。
青緑の長い髪を雨に濡らして彼女は立っていたという。
それを見つけた孤児院の子どもたちはその子を孤児院へと連れ帰った。
どこから来たか、親はどうしたのか、何故あの場に立っていたか、名前以外は訊いても「分かりません」という答えが帰ってきたという。
そして、子どもたちたっての希望で孤児院はその子をあずかることにしたが、日が経つにつれて問題が出てきた。
「そのリリーって子、俗に言う、エルフなんだよね。それまでは髪で隠れてたんだけど、エルフ耳ってヤツがある女の子に何かの拍子に見えちゃったらしいんだ。」
「そんな偏見を持つような子どもたちではないだろう?」
「それが……問題はそこじゃなくて…。」
輝は躊躇うようにそこで言葉を切った。
性格の良い子どもたちの中で、問題が起こるとは想像しにくい。
輝は呆れるように、答えを告げた。
「エルフだってバレたことで何かが吹っ切れたのか、たちの悪い「天然毒舌」になっちゃったんだよ。」
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