奇家
□似た者同士
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「おっ、今日もかっこいいじゃーん!」
英里は私の家の、というか兄の事情を知っているので私が男物の服を着ていても驚きはしない。
むしろ、感想を述べてくれるし、ファッションチェックもしてくれる。
「やっぱりお兄さんセンス良いね。今日のはひかる兄だね?」
彼女はどちらの兄の服なのか、判別出来るようにもなっていた。
流石に私も尊敬にも似た感情がわいてくる。
ちなみに彼女の言う「ひかる兄」とは、一番上の兄のことを差す。漢字はウチの家族はみんな一文字だ。兄の漢字は「輝」と書く。
「そう。よく分かるね。」
私は感心しながら笑ってみせる。
兄もそうだが、英里も、人間観察能力にたけていると常々思う。
「あははっ。まあ、ファンとしては当然のことよ。」
いつからファンになったと言うのだろう。
冗談なのかどうかはよく分からないが、時計をみると、約束の時間が迫っていた。
「とりあえず、行く?」
「OK!」
私たちは、二人だけでカラオケに向かった。いつもなら3・4人は来るのだが、一番歌いやすいのは二人だったりする。
英里とは趣味が合うのだ。
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