奇家
□恵と充。
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朝、家にあるボードを見ると、今日は料理当番が当たっていた。
平日ならマシだが、休日となると朝昼晩と何を作ろうか悩む。
昨日は充が当番で、チャーハン尽くしだった。
輝は文句を言いながら平らげ、閑は何も言わず無表情平らげ、父は美味しいよと言って平らげた。
父はいつも誰の料理でもそう言って平らげる。
オレはもちろん、充のチャーハンは大好物だから、何も言わずに食べ終わり、おかわりをした。
確かに、今まで充のチャーハンを好きと言った覚えがない。
充がそれを知らないのも当たり前だな。
そんなたわいのないことを考えながら買い物を済ませ、スーパーから出ると、ちょうどウチの不良中学生を見つけた。
「あれ?充。」
「あ、兄貴。」
向こうもこちらに気付いたらしく、オレの方に振り返る。
が、しかし何かに気がついたように顔を背けた。
が、オレには見えた。
「今帰り?」
「まぁ、な。」
頬の傷が。
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