奇家
□放課後の出来事
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「親友っ!」
放課後、やっとウチに帰れると思った矢先、いつもの奴が現れた。
「……。」
コイツは無視するに限る。
オレは無言で帰る準備を始めた。
ただでさえ、今日は料理の当番で買い物して帰らなきゃいけないっていうのに、コイツの相手なんかしていたら、あっという間に日が暮れる。
夕飯を作らなきゃいけないから、早く帰らないと、また兄貴にとやかく言われそうだ。
「やあやあ、充(みつる)君!無視しないで、ボク泣いちゃうゾ☆
ねぇ一緒に帰ろうよ、きゃっほい!」
妙なテンションで、オレの周りをうろつくコイツの名は……小川依豆。“いず”という名前も珍しいものだが、コイツの場合、存在自体も十分珍しい。というか異常だ。
いつもオレに絡んでくるが、その理由は全く分からない。
オレはコイツのことを「親友」はおろか、「友達」だとも思っていないのに、コイツは「親友!」と言い張る。
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