奇家
□似た者同士
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「じゃーん!今日はカジュアルにジャケットです!オレのだから着てていいよ。」
「ありがとう。」
兄がいつも通りに男物の着替えを持って、私の部屋にやって来た。
父のものや、弟のものだとそれを着たまま外には出られないが、兄のものとなると別だ。
眼鏡の兄も別に気にしないらしく、私に貸してくれる。
私は服を受け取ると、さっと着替えを済ませた。
「今日は、友達との約束があるからもう行くね。」
約束の時間にはまだ少し時間があったけど、もう出なければならない。英里はいつも集合時間の15分前には集合場所についているからだ。
時間に厳しいわけではなく、ただ単にテンションが高いのだ。
「友達?英里ちゃん?」
兄は、妙に私の友達事情に詳しい。
「うん、英里と二人でカラオケ。」
私がそう言うと、「じゃあ早く行ってあげないとね。」と兄は笑った。
なんだか、そこまで知れていると逆に怖いのだけど…。
「じゃあ、行ってきます。」
そう言って私は街に出かけた。
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