奇家

□夏目田家のはちゃめちゃ生活C
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オレの家族は、はっきり言わなくても、そのまま 変 だ。

中学に入学して、ピアスを開けたときも、不良がらみでボコられて帰ってきたときも、今まで通り、平然と接して来やがる。

親父くらいは何か言うかと思ったが、それもなかった。
後から聞いた話だと、どうやらSの方の兄貴が上手く言いくるめたらしい。
あの熱血漢にどう言ったのかは知らないが、家庭内は平和に保たれた。

勿論、当番制も回ってくる。
洗濯、掃除、ゴミ出し、料理。
料理が当番の時に、遅れて帰ると、必ずSの方の兄貴になんやかんや言われる。
ちなみに、今日も遅れた。玄関のドアを開けると、兄貴が立っていた。

「おかえり、不良中学生。ウチの飯はどうした?」

兄貴の笑顔が凍りつくほど怖い。
きっと、そこらの不良より強いんじゃないかと思わせる。

実際、昔、兄貴はオレを不良たちから助けてくれたことがある。オレは気を失っていて、何も覚えていないが、兄貴はいつまで経ってもその全貌を教えてはくれない。

兄貴はもしかしたら、本当に喧嘩も強いのかもしれない。

「今からすぐ作るよ。」

オレが素早く靴を脱ぎながら答え、台所に向かうと、兄貴もついて来る。
なんだかんだ言って、腹が減っているのだろう。


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