記念
□酔っ払いとお兄ちゃん
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草木も眠る丑三つ時。
突然鳴らされたインターホン。
眠りを妨げられた俺は、鳴り続けるインターホンに溜め息をつき、玄関へ向かった。
こんな時間にこんなことをする非常識なヤツは、俺の知る限り一人しかいない。
予想通り、ドアを開けた先には、酔っ払い・・・いや、幼なじみの室園楓がいた。
「慎一〜、元気ー?あははっ、やっほー」
「・・・」
何が、元気ー?だ。
ったく、コイツは。
「はぁー、ったく、何なんだよ、こんな遅くに」
「えー?慎一ったら年寄りくさいー。まだまだ夜はこれからよー♪」
駄目だ。
完っ全っに酔ってる。
「で?」
「駅前でみんなで飲んでたんだけどさー、家まで帰るの面倒でさぁ」
「ほー?」
「だからぁ、泊めて♪」
小首を傾げながらねだってくる。
酔ってるから目が潤んでて・・・。
それで上目遣いは反則だろっ!
「・・・一人暮らしの男の部屋に泊まるって、どーゆーことか、分かってる?」
「男って・・・うちら、幼なじみじゃない♪兄妹みたいなもんだし、そんな色っぽいことないでしょ〜」
あははっ、と笑いながら、俺の言うことなんて聞かずに勝手に部屋に上がってくる。
・・・こいつは本当に何もわかってない。
きっと俺の気持ちなんて考えたこともないんだろう。
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