短編
□賭博好きのお姫様
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「…ところで、レオノーラ様?また、賭博をしておられましたね」
「え、あ、そのー…つい。え、えへ?」
小首を傾げてお茶目に言ったのがまずかった。
暗黒世界の大魔王様が降臨していまいました…!!
いつの間にか私と賭博に勤しんでいた共犯者たちは部屋の隅、魔王様のテリトリーから一番遠い場所へ移動して事の成り行きを見守っている。
どうやら私は、彼らから魔王様への生贄として捧げられてしまったらしい。
「なにを、よそ見してらっしゃるんです?…はぁ。何度言ったらわかるんです?常日頃から姫君らしくなさってくださいと申し上げておりますのに、私や陛下の目を盗んでこのようなことを…。大体、賭博は軍は勿論、城内でも禁じられているはず。それを、皆の模範であるべき姫様が率先してどうするんです?もっとご自分の立場を考えて行動なさるべきでしょう、何か弁解はございますか、レオノーラ様」
わぁー…一息で言ったよこの人。
「アリマセン。…私が軽率でした、ごめんなさい」
魔王だろうがなんだろうが、キースの言い分もお説教も正しい。
それはわかる。
今回は、キースの留守中に羽目をはずした私が悪いので、素直に謝る。
いつもはなんだかんだと、言い訳するからあんな怖い思いをするのだ。
今日は、素直に謝ったし、きっとキースも許してくれるはず……。
が、なかった。
目の前の大魔王様はさっきよりも凶悪なキラースマイル・スペシャル♪を浮かべていた。
あー、私今日こそ命ないかもー…あははー
「…今日は私がみっちりきっちりお仕置きして差し上げます」
「それ、遠慮したいー」
もはや乾いた笑いしか出てこない。
変な汗が頬を伝った…気がする。
「さ、行きますよ、レオノーラ様」
「いやーっっ!!!」
城内に響く私の声。
そんなの丸無視なキースは黒い笑みを浮かべたまま私を連行していく。
有能で大魔王な彼を止めてくれる勇者はこの城にはいない。
明らかに姫より権力ある臣下ってどうなのさ…。
*