短編

□七夕恋物語
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「・・・香奈、何してんの」




帰宅した俺は、庭先でがさごそと動く不法侵入者に声をかけた。



「あ、劉ちゃんオカエリー!・・・何って七夕の飾りつけしてるー」


見てわかんない?と生意気な言葉ばかり吐く少女は、紛れもない俺の従妹で。

いちいち俺の神経を逆なでする言い方をする。



「俺が言ってるのは、な・ん・で!俺の家の庭でやってるのかってことだ」



大人気ないのはわかってる。

俺だっていつもこうなわけじゃない。

大学では「クールな榊くん」で通っている俺をこんな風にさせるのは香奈だけだ。


何故か人を苛立たせる態度ばかりとるのだ、この従妹は。



「えー?そりゃ、劉ちゃん家のほうが、庭広いから。ウチ、マンションだし」


ベランダ狭いし、じゃねえ!




「だからって勝手にやるな!」

「勝手じゃないよー?伯父さんに許可もらったもーん」

「は?」




昨夜、電話で許可をもらった?

待て。

俺は聞いてない。

今朝も何も言ってなかったぞ?




「劉ちゃんには言うなって、伯父さんが。キーキーうるさいからってー」


ケラケラと笑いながら余計なことを。



香奈の落とした爆弾に俺の中の何かがキレた。


覚悟してろよ、クソ親父。

いい年して人をおちょくるのが好きという悪趣味な親父に報復を決める。





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