短編

□君に依存症
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かかってきた電話。

それは待ち望んでいたものだった。




「ねえ、あとどのくらいで帰ってくる?」



妙に甘えた声になってしまった。

私らしくない、『女』の声。




『これから飛行機に乗るから・・・あと3、4時間だな』


ラウンジにでもいるんだろうか、彼の声の後ろが騒がしい。



たった1週間離れていただけなのに。

これまでだって、会えないことはあった。

何ヶ月も会えないことだってあったのに。

慣れているはず・・・なのに。



仕事だからしょうがないって頭では分かっていても寂しくてしょうがなかった。





お互い芸能界に身を置いてるから、思うように会えないのはしょうがないってわかってる。

休みを合わせることも難しいし、お互いの家を行き来することも慎重にしなきゃいけない。


だって彼は今をときめく人気俳優。

スキャンダルは命取り。




でも、


やっぱり寂しくて。




どうしても会いたくて、仕事終わりにそのまま彼の部屋まで来てしまった。


でも、彼のいないこの部屋は寂しさを埋めてくれることはなかった。

ただ、その部屋の広さが寂しさをより深く感じさせただけ。






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